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プラスチックフィルム(軟包装)

包装形態・積層構造・材料・特徴・製造方法を、公開情報にもとづいて体系的に整理します。

プラスチックフィルムは、食品、日用品、医薬品など幅広い分野で使用される代表的な容器包装材料です。薄く、軽量で柔軟性を持ち、材料や積層構成を組み合わせることで、密封性、バリア性、耐熱性、機械的強度など多様な性能を付与できます。ここでは、プラスチックフィルムを使用する容器包装について、包装形態・構造・材料・特徴・製造方法の順に整理します。

包装形態

包装形態用途例製品例(製品名・メーカー)
パウチレトルト食品ボンカレーゴールド(大塚食品)
スタンディングパウチ詰替用洗剤、レトルト食品アタックZERO つめかえ用(花王)、キュキュット つめかえ用(花王)
スパウトパウチゼリー飲料、流動食、液体食品inゼリー(森永製菓)
三方シールシーズニング、粉末調味料、粉末スープお茶づけ海苔 4袋入(永谷園・2013年変更後の背貼り三方シール事例)
四方シールシーズニング、粉末食品、粉末スープお茶づけ海苔 4袋入(永谷園・2013年変更前の四方シール事例)
ピロー包装菓子、パン、加工食品ポテトチップス(カルビー)
テトラ包装菓子、豆菓子miino そら豆 しお味 三角パック(カルビー)
※「お茶づけ海苔 4袋入」は包装形態変更を説明する歴史的事例として掲載します。現在の商品仕様を示すものとして扱いません。

その他

包装形態用途例製品例(製品名・メーカー)
ラベル飲料ボトル等の商品表示サントリー天然水 550mL・2L(サントリー食品インターナショナル:ロールラベル)
シュリンク飲料、食品、日用品等のボトル・容器への表示フルシュリンク(フジシールインターナショナル)
蓋材カップ・トレー等の蓋、密封明治ブルガリアヨーグルト 180gシリーズ(明治)
ラップフィルム食品保護、鮮度保持サランラップ(旭化成ホームプロダクツ)、NEWクレラップ(クレハ)
ストレッチフィルム輸送時の荷崩れ防止、積載物固定SR ストロングタイプ(積水樹脂)

ラベルとシュリンクの違い

ここでは「ラベル」をロールラベル等の非収縮タイプ、「シュリンク」を熱収縮性フィルムを利用したシュリンクラベルとして区分します。シュリンクラベルも広義にはラベルの一種です。

一般的なロールラベルは、フィルムをボトル外周へ巻き付け、端部を接着して装着します。シュリンクラベルは熱収縮性を持つ筒状フィルムを容器へ被せ、加熱によって収縮させて容器形状へ密着させます。

構造

プラスチックフィルムを用いた軟包装では、内容物の保護、密封性、包装機械適性、保存性などの要求性能に応じて、複数のフィルムや機能材料を組み合わせた積層構造が広く用いられます。異なるフィルムやアルミ箔などを貼り合わせる加工を「ラミネート」といいます。

積層する材料や層数は用途によって異なり、2層、3層、4層以上など多様な構成が存在します。ここでは積層構造の基本を理解するため、基材層・バリア層・シーラント層という代表的な3つの「機能層」で整理します。

この3区分は機能を理解するためのモデルであり、実際の物理的なフィルム層数と必ずしも一致しません。例えば、基材機能を複数のフィルムで構成したり、接着剤層や追加の機能層を挿入したりする場合があります。

代表的な機能3層モデル

フィルムの断面を拡大したイメージで示すと、外側から内容物側へ向かって、基材層・バリア層・シーラント層が積み重なります(下図はオリジナルの模式図)。

外側 基材層 バリア層 シーラント層 内容物側 PET/OPP/ONY 強度・印刷基材・保護 印刷インキ(裏刷り) 接着剤層(各層間) AL/蒸着/EVOH 酸素・水蒸気・光を遮断 CPP/LDPE/LLDPE ヒートシール・密封
例:PET(基材)/ AL(バリア)/ CPP(シーラント)は代表的な3層構成のひとつ。
※上図は機能を理解するための模式図です。実際のラミネート包材では、基材層内面への印刷(裏刷り)や、各フィルム間の接着剤層が存在します。各層の厚みや層数は用途によって異なります。

基材層

包装の外側に配置されるフィルム。主な役割は以下です。

代表的な材料:PET、OPP、ONY など。

軟包装では基材フィルムの内面へ印刷した後、別のフィルムとラミネートして印刷インキを積層体内部へ配置する「裏刷り」が広く使用されます。これにより、印刷インキの摩耗防止、印刷面の保護、内容物と印刷インキの直接接触防止を図ることができます。

バリア層

内容物の品質保持に必要な遮断性能を付与する層。主に、酸素・水蒸気・香気成分・その他のガスなどの透過を抑えます。材料によっては光も遮断します。

代表例:アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム、EVOH など。

内容物がどのような要因で劣化するかを考え、必要な保存期間や流通条件に応じてバリア材料を選択します。

シーラント層

包装の最内層に配置され、内容物と直接接触するフィルム。主な役割は以下です。

シーラント層同士を加熱して接着する方法を「ヒートシール」といいます。代表的な材料:LDPE、LLDPE、CPP など。

代表的な積層構成例

積層構成例主な考え方・用途例
OPP / CPP菓子、パン、乾燥食品など。OPPが基材、CPPがシーラントを担う代表的構成
PET / PE一般食品、日用品など。PETの強度・印刷適性とPEのシール性を組み合わせる
PET / ONY / LLDPE耐突刺し性や機械的強度が必要な食品包装など
PET / AL / PE酸素・水蒸気・光に対する高いバリア性が必要な食品など
PET / AL / ONY / CPPレトルト食品など、高いバリア性、強度、耐熱性が要求される用途

実際の積層構成、各層の厚み、接着剤、表面処理は、内容物・必要な保存期間・殺菌条件・流通条件・包装機械・シール条件などに応じて設計します。

材料

軟包装では、一つの材料ですべての要求性能を満たすことが難しい場合が多いです。各材料が持つ特性を利用し、基材層、バリア層、シーラント層などへ適切に配置します。

基材層の材料

PET(ポリエチレンテレフタレート)

食品包装、レトルト包装、日用品包装など幅広い用途で使用されます。

OPP(延伸ポリプロピレン)

OPPは、PPフィルムを主にMD方向とTD方向へ二軸延伸したフィルムです。

菓子、パン、乾燥食品等の包装基材として使用されます。

ONY(延伸ナイロン)

ナイロンフィルムを延伸したものです。

液体食品、冷凍食品、レトルト食品など、強度や耐突刺し性が必要な包装で使用されます。

バリア層の材料

アルミ箔(AL)

レトルト食品や長期保存食品など、高いバリア性能が必要な用途で使用されます。金属箔であるため透明性はありません。また、強い折曲げや屈曲によるピンホールに注意が必要となります。

アルミ蒸着フィルム

代表例:VM-PET。PETなどのフィルム表面へアルミニウムの非常に薄い膜を形成したものです。

菓子包装などで広く使用されます。

透明蒸着フィルム

PETなどのフィルム表面へ無機物の薄膜を形成します。代表的な蒸着材料:SiOx(酸化ケイ素系)、AlOx(酸化アルミニウム系)。

EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)

EVOHの酸素バリア性能は湿度の影響を受けるため、PEやPPなどの層と組み合わせて使用されることが多いです。

シーラント層の材料

LDPE(低密度ポリエチレン)

一般食品、日用品など幅広い用途で使用されます。

LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)

軟包装のシーラントとして広く使用されます。

CPP(無延伸ポリプロピレン)

PPを意図的に延伸せずに製膜したフィルムです。

Tips ① HDPE・LDPE・LLDPEの違い

HDPE、LDPE、LLDPEはいずれもポリエチレンです。分子鎖の分岐構造が異なることで、密度、剛性、柔軟性、強度などに差が生じます。

種類分子構造の特徴主な性質軟包装での代表的な使われ方
HDPE直鎖状で分岐が少ない高密度、高剛性、比較的高強度強度・剛性を必要とするフィルム等
LDPE長鎖・短鎖の分岐が多い柔軟、加工性が高い、ヒートシールしやすいシーラント、押出ラミネート、単体フィルム
LLDPE直鎖状の主鎖に短鎖分岐を持つ柔軟、強度、耐衝撃性、耐突刺し性に優れるシーラント、袋、ストレッチフィルム

HDPE

分子鎖の分岐が少なく、分子鎖同士が比較的密に並びます。その結果、密度が高い・結晶性が高くなりやすい・剛性が高い・強度が高いという特徴を持ちます。

LDPE

長鎖分岐を多く持つため、分子鎖同士が密に並びにくいです。その結果、密度が低い・柔軟性が高い・伸びが大きい・加工しやすいという特徴を持ちます。

LLDPE

直鎖状の主鎖へ短い分岐を導入した構造を持ちます。LDPEに近い柔軟性を持ちながら、引張強度・衝撃強度・耐突刺し性などを確保しやすく、軟包装のシーラントやストレッチフィルムに広く使用されます。

Tips ② OPPとCPPの違い

OPPとCPPはいずれもPP(ポリプロピレン)を主原料とするフィルムです。本質的な違いは「延伸の有無」にあります。

OPP

OPPはPPフィルムをMD・TD方向へ延伸することで、結晶部・非晶部の高分子鎖をフィルム面内方向へ配向させたフィルムです。無延伸状態では、高分子鎖や結晶構造の方向性は比較的小さいです。延伸すると、次の変化が起こります。

延伸によって強度が上がる理由

分子鎖がランダムな状態では、外力を受けた際に、分子鎖の回転・分子鎖のほどけ・分子鎖同士の滑りによって変形しやすいです。延伸によって高分子鎖が一定方向へ配向すると、荷重が高分子主鎖へ効率的に伝達されます。その結果、引張強度が高くなる・引張弾性率が高くなる・剛性が高くなります。

一方、分子鎖はすでに大きく引き伸ばされ配向しているため、追加で変形できる余地が小さくなります。そのため、延伸によって強く・硬くなる代わりに、変形余力が小さくなり、局所的な応力集中や破壊に対する靭性が低下しやすくなります。

つまり、次のトレードオフが生じます。

CPP
分子配向が小さい
↓ 延伸
OPP
分子鎖・結晶構造が面内方向へ配向
強度・剛性 上昇
+ 変形余力 低下

延伸と耐熱寸法安定性

延伸によって配向した分子鎖は、加熱によって配向が緩和し、元の状態へ戻ろうとします。そのため延伸フィルムは、そのままでは加熱時に熱収縮を起こしやすいです。延伸後に熱固定を行い、配向した構造を安定化することで、熱収縮を抑える・寸法安定性を向上する・包装加工時の耐熱寸法安定性を確保することができます。

CPP

CPPはPPを意図的に延伸せずに製膜したフィルムです。OPPと比較すると高分子鎖の配向が小さく、荷重を受けた際に、分子鎖の回転・分子鎖のほどけ・分子鎖の伸長などによって変形できる余地が大きいです。そのため、柔軟性が高い・伸びが大きい・変形によってエネルギーを吸収しやすいという特徴を持ちます。

OPPとCPPの比較

性質OPPCPP
延伸二軸延伸無延伸
分子鎖面内方向へ強く配向配向が比較的小さい
引張強度高いOPPより低い
剛性高いOPPより柔軟
破断伸び小さい大きい
変形余力小さい大きい
局所応力への挙動応力集中部から破壊が進行しやすくなる場合がある変形によって荷重を逃がしやすい
軟包装での代表的役割基材層シーラント層

OPP / CPP構成で両方PPを使用できる理由

代表的な積層構成として OPP / CPP があります。両方ともPP系材料ですが、構造と役割が異なります。

ヒートシール時には、次の状態になります。

外側
OPP
包装形状を保持
CPP
加熱
軟化・溶融
対向するCPP同士の界面で分子鎖が相互拡散
冷却・固化
シール形成
内容物側

実際のシール可能温度域は、延伸の有無だけで決まるものではなく、PPの樹脂グレード・共重合組成・結晶構造・フィルム厚み・シール温度・シール時間・シール圧力などによって決まります。

OPPとCPPを組み合わせることで、同じPP系材料を使用しながら、外側は基材として保持し、内側はシーラントとして接着するという役割分担が可能になります。

プラスチックフィルム(軟包装)の特徴

軽量

ガラス容器や金属容器等の剛性容器と比較して、包装重量を小さくしやすいです。輸送時の重量低減にもつながります。

柔軟性

内容物の形状へ追従しやすいです。使用後に折りたたみや減容がしやすいです。

多様な包装形態への加工が可能

フィルムから、パウチ・スタンディングパウチ・スパウトパウチ・三方シール・四方シール・ピロー包装・テトラ包装・蓋材・ラベルなど多様な容器包装形態を形成できます。

印刷による情報表示・意匠付与が可能

フィルム面へ、商品名・法定表示・調理方法・デザイン・写真・二次元コードなどを印刷できます。

材料や積層構成による機能設計

材料や層構成を選択することで、酸素バリア性・水蒸気バリア性・遮光性・耐熱性・耐寒性・耐油性・耐薬品性・耐突刺し性・ヒートシール性・易開封性などを付与できます。

設計自由度が高い

内容物や用途に応じて、材料・積層構成・フィルム厚み・シール方式・バリア性能・開封方法・再封機能などを組み合わせて設計できます。

保管・輸送効率

未使用状態では薄いフィルムや袋として保管できます。ボトル等の成形容器と比較して、空容器状態の保管・輸送容積を小さくしやすいです。

材料ごとに性質が大きく異なる

プラスチックフィルムは材料によって、耐熱性・強度・バリア性・シール性・透明性・柔軟性が大きく異なります。内容物や流通条件に合わせた材料選定が重要となります。

資源循環を考慮した設計

PET、NY、PE、アルミ箔など複数材料を組み合わせることで、高い性能を持つ軟包装を設計できます。一方、異種材料が強固に積層されている場合、使用後の材料分離が難しくなります。そのため、モノマテリアル化・薄肉化・材料使用量削減・再生材利用・リサイクル適性を考慮した構成などの設計が進められています。

製造方法

プラスチックフィルムを用いた軟包装は、製品仕様によって工程が異なります。代表的には、製膜 → 表面処理・機能付与 → 印刷 → 積層 → スリットまでを経た後、ロール包材ルート(スリット → ロール納品 → 納品先で製袋・充填・シール)と、製袋品ルート(スリット → 製袋 → パウチ納品 → 納品先で充填・最終シール)のように分かれます。

製膜
表面処理・機能付与
印刷
積層
スリット
↓ 分岐
ロール納品
製袋・充填・シール
(納品先)
製袋 → パウチ納品
充填・最終シール
(納品先)

製膜方法

熱可塑性樹脂を加熱・溶融し、ダイから薄膜状に押し出してフィルムを形成します。代表的な溶融製膜方式:Tダイ法、インフレーション法 など。

Tダイ法

溶融した樹脂を平たいT字型のダイからシート状に押し出し、冷却ロール等で冷却してフィルムを形成します。用途例:CPP、PET延伸原反、OPP延伸原反 など。

インフレーション法

溶融樹脂を円形ダイから筒状に押し出し、内部へ空気を送り込んで膨張させながら冷却します。PE系フィルムなどで広く使用されます。

製膜時の延伸

フィルムを一定方向へ引き伸ばす処理を「延伸」といいます。無延伸状態では、高分子鎖や結晶構造の方向は比較的ランダムです。フィルムを適切な温度条件で延伸すると、非晶部の高分子鎖が伸長する・結晶構造が変形・再編成される・分子鎖が延伸方向へ配向する・配向した結晶構造が形成されます。その結果、フィルムの引張強度・剛性・伸び・透明性・ガス透過性・引裂性・寸法安定性などが変化します。

MD方向とTD方向

フィルムの製造・流れ方向を MD:Machine Direction、MDに対して直角方向を TD:Transverse Direction といいます。

無延伸フィルム

製膜後に意図的な延伸工程を行わず使用するフィルム。代表例:CPP、LDPEフィルム、LLDPEフィルム。一般に延伸フィルムと比較して、柔軟性が高い・伸びが大きい・変形余力が大きいという特徴を持ちます。

一軸延伸

MDまたはTDの一方向へ延伸します。一方向へ強く分子配向するため、延伸方向の物性が大きく変化します。その結果、物性の方向依存性、すなわち異方性が大きくなります。

二軸延伸

MD方向とTD方向の二方向へ延伸します。代表例:OPP、PET、ONY。一方向だけに強く配向させる場合と比較して、フィルム面内の物性バランスを整えやすいです。二軸延伸方式には、逐次二軸延伸・同時二軸延伸があります。

逐次二軸延伸

一方向へ延伸した後、直角方向へ順番に延伸する方法。代表的には、MD方向へ延伸 → TD方向へ延伸 という工程をとります。

同時二軸延伸

MD方向とTD方向へ同時に延伸する方法。フィルムを二方向へ同時に拡大することで、面内方向の物性を調整します。

熱固定

延伸した高分子鎖は、加熱すると配向が緩和して収縮しようとします。延伸後にフィルムを拘束しながら加熱処理する「熱固定」を行うことで、配向構造を安定化する・残留応力を低減する・熱収縮を抑制する・寸法安定性を向上することができます。

印刷

製膜されたフィルムへ商品表示やデザインを印刷します。軟包装では、基材フィルムの内面側へ印刷した後、他の材料とラミネートして印刷面を積層体内部へ配置する裏刷りが広く利用されます。

グラビア印刷(凹版印刷)

版胴表面に形成した微細な凹部へインキを保持し、フィルムへ転写する印刷方法。高精細な印刷が可能・写真やグラデーション表現に適する・高速印刷に適する・長ロット生産に適する。日本の軟包装で広く使用されている代表的な印刷方法です。

フレキソ印刷(凸版印刷)

柔軟な凸版とアニロックスロールを用いてインキを転写する印刷方法。アニロックスロールによって一定量のインキを版へ供給し、凸部からフィルムへ転写します。高速印刷が可能・フィルムや紙など幅広い基材に対応できる・水性インキ等を利用できる・軟包装にも使用されます。

オフセット印刷

版からブランケットへインキを転写し、さらに印刷基材へ転写する間接印刷方式(版 → ブランケット → 印刷基材)。高精細な文字・画像表現に優れ、紙器・紙容器等で広く利用されます。プラスチックフィルム軟包装ではグラビア印刷やフレキソ印刷が中心となるため、ここでは補足的な方式として扱います。

デジタル印刷

印刷版を作製せず、デジタルデータから直接印刷する方式。代表例:インクジェット方式、電子写真方式。版作製が不要・小ロット生産に対応しやすい・デザイン切替が容易・可変情報印刷が可能・多品種少量生産に適します。

特殊印刷・加飾

通常の情報表示に加えて、意匠性や機能を付与する印刷・加工。例:マット表現・光沢表現・部分ニス・金属調表現・パール表現・蛍光表現・蓄光表現・触感付与・偽造防止印刷 など。

単層フィルムへの機能付与

単体フィルムへ表面処理を行うことで、印刷適性・接着性・バリア性・表面特性などを付与できます。

蒸着

真空中で材料を気化または反応させ、フィルム表面へ非常に薄い無機層を形成します。代表例:アルミ蒸着、SiOx蒸着、AlOx蒸着。目的:酸素バリア性向上・水蒸気バリア性向上・遮光性付与・金属光沢付与・透明バリア性付与。

コロナ処理

フィルム表面へ高電圧放電を行い、表面を活性化する処理。PEやPP等は表面エネルギーが低く、インキ、接着剤、コーティング剤が濡れ広がりにくい場合があります。コロナ処理によって表面を改質し、インキの濡れ性向上・印刷密着性向上・接着剤との接着性向上・コーティング剤との密着性向上を図ります。主に印刷やラミネート前の処理として使用されます。

コーティング

フィルム表面へ機能性材料を薄く塗布し、乾燥して機能層を形成します。付与できる機能例:酸素バリア性・水蒸気バリア性・ヒートシール性・防曇性・帯電防止性・易接着性・滑り性・表面保護性 など。

積層化(貼合・ラミネート)

複数のフィルム、アルミ箔等を組み合わせ、一つの複合フィルムとして使用する加工。積層することで、強度・耐熱性・バリア性・ヒートシール性・印刷適性・耐内容物性などの異なる機能を一つの包材へ付与できます。

ドライラミネート(接着剤方式)

一方のフィルムへ接着剤を塗布し、溶剤を乾燥させた後、別のフィルムと貼り合わせます。代表的な流れ:接着剤塗布 → 乾燥 → 貼り合わせ → 巻取り → エージング・硬化。多様なフィルムやアルミ箔を組み合わせられる・高い接着強度を得やすい・積層構成の自由度が高い・ボイル・レトルト等の高耐熱用途にも使用されます。

ノンソルベントラミネート(接着剤方式)

有機溶剤を含まない接着剤を用いてフィルム同士を貼り合わせる方法。有機溶剤使用量を抑えられる・溶剤乾燥工程を省略できる・エネルギー使用量を低減しやすい・残留溶剤リスクを抑えられる・高速ラミネートへ適用できます。

押出ラミネート(樹脂接着方式)

溶融したPE等の熱可塑性樹脂を基材上へ押し出し、別のフィルムやアルミ箔等と圧着します。押し出した樹脂層は、接着・シーラント・防湿などの機能を担う場合があります。

共押出(多層共押出:製膜段階での多層化)

複数の押出機から異なる樹脂を供給し、製膜工程内で複数層を一体化する方法。代表例:PE / EVOH / PE、PP / EVOH / PP、NY / EVOH / NY など。一回の製膜工程で複数の樹脂層を形成できます。製膜済みフィルム同士を貼り合わせるラミネートとは工程が異なり、共押出では製膜する段階で複数材料を一体化します。

スリット

印刷・ラミネート等を完了した幅広の原反を、最終的な包装機や製袋機で使用する幅へ切断する工程。代表的な流れ:原反を巻き出す → 必要な幅へ切断する → 分割したフィルムを再度ロール状に巻き取る。これによって後工程で使用可能なロール幅へ仕上げます。

ロール納品・パウチ納品

軟包装材料は、使用方法に応じて主に、ロール状・製袋済みパウチの状態で納品されます。

ロール納品

印刷、ラミネート、スリット等を完了したフィルムをロール状で納品します。納品先の充填包装機で、フィルム供給 → 製袋 → 内容物充填 → シール → 切断 を連続的に行います。代表例:ピロー包装、三方シール、四方シール、テトラ包装 など。

パウチ納品

包材メーカー等であらかじめ袋形状まで加工した状態で納品します。納品先では、袋供給 → 開口 → 内容物充填 → 開口部シール 等を行います。代表例:平パウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、チャック付きパウチ など。

パウチ

フィルムを所定形状へ加工し、周囲をヒートシールして袋状にした容器包装。用途によって、レトルトパウチ・平パウチ・チャック付きパウチ・各種機能性パウチなどがあります。

スタンディングパウチ

袋の底部に底ガゼットを設け、内容物を充填した状態で自立できるようにしたパウチ。用途例:食品、飲料、調味料、洗剤等の詰替製品。

スパウトパウチ

パウチへ樹脂製の注出口「スパウト」を取り付けた包装。内容物を直接飲用できる・液体を注ぎやすい・キャップ付きでは再封できる・ボトル等と比較して使用後に減容しやすい。用途例:ゼリー飲料、液体食品、調味料、日用品。

チャック付きパウチ

パウチ開口部付近へ再封可能な樹脂製チャックを取り付けた包装。開封後に再封できる・複数回使用する内容物に適する・内容物の飛散・こぼれを抑えられる・保存性や使用性を向上できる。用途例:菓子、粉末食品、コーヒー、冷凍食品、ペットフード、日用品。

納品先での製袋・充填包装

ロール包材として納品された場合、納品先の充填包装設備でフィルムを袋形状へ成形しながら、内容物の充填と密封を行います。

三方シール

フィルムを折り曲げる、またはフィルムを重ね、袋の3方向へシール部を形成する包装形態。用途例:シーズニング、粉末調味料、粉末スープ、小袋食品。

四方シール

2枚のフィルム等を重ね、袋の4辺すべてへシール部を形成する包装形態。四辺へシール部を形成できる・平面性を確保しやすい・表裏を表示面として利用しやすい・粉末、顆粒、液体等へ対応できる。用途例:シーズニング、粉末食品、医薬品、健康食品、液体小袋。

ピロー包装

1枚のロールフィルムを筒状へ成形し、縦シールと横シールによって袋を形成する方式。代表的な流れ:フィルムを筒状へ成形 → 縦方向をシール → 横方向をシール → 内容物を充填 → 次の横シールを行う → 切断。完成形が枕のような形状になるため、ピロー包装と呼ばれます。用途例:菓子、パン、加工食品、即席麺、日用品。

ガゼット付きピロー包装

ピロー包装へ折込み部「ガゼット」を形成した包装。通常のピロー包装より立体性や容積を確保できます。厚みのある内容物に対応しやすい・容積を確保しやすい・角張った内容物へ対応しやすい・陳列時の形状を整えやすい。用途例:パン、菓子、麺類、大容量食品。

テトラ包装

1枚のロールフィルムを筒状へ成形し、前後の横シール方向を約90度変えることで、三角錐状の袋を形成する包装。三角錐状の立体形状になる・一般的なピロー包装と異なる外観を持つ・小容量品に適する・高い意匠性を持たせられる。用途例:菓子、豆菓子、キャンディ。製品例:miino そら豆 しお味 三角パック(カルビー)。

関連: 基礎 加工・成形・印刷 詳解 設計する 用語集