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PACKAGE 01 / BASICSSECTION 05-04

段ボール

紙を波形にし、貼り合わせる。軽さと強さを両立する、代表的な物流包装材料。

段ボールは、ライナと呼ばれる平らな紙と、波形に成形した中しんを貼り合わせて作る構造材料です。軽量で加工しやすく、箱として内容物を収容するだけでなく、輸送・保管時の衝撃や圧縮荷重から製品を守る役割を担っています。波形部分は「フルート」と呼ばれ、段の高さや段数、組み合わせによってさまざまな構造が作られます。

01 段ボールとは

段ボールは、平らなライナと、波形に成形された中しんを接着して作られます。

単純に紙を厚くした材料ではありません。波形の中しんをライナで支えることで、少ない材料で厚みを持たせ、曲げや圧縮に抵抗する構造を作っています。

表ライナ フルート/中しん 裏ライナ 接着部
FIG. 05-04-01 / CORRUGATED BOARD 表ライナ・中しん(フルート)・裏ライナを接着した段ボードの断面。
LAB NOTE — 「段ボール」と「段ボール箱」
段ボールはシート状の材料・構造を指し、それを切断・罫線加工・接合して作ったものが段ボール箱です。

02 段ボールの構造

段ボールの基本要素は、ライナ、中しん、フルートです。

ライナ

段ボールの表面・裏面を構成する平らな紙。

中しん

波形に成形され、ライナの間に配置される紙。

フルート

中しんによって形成される波形構造。

これらの組み合わせによって、段ボールの厚み、強度、加工適性などを変えることができます。

SINGLE FACESINGLE WALLDOUBLE WALLTRIPLE WALL 片面段ボール両面段ボール複両面段ボール複々両面段ボール
FIG. 05-04-02 / BOARD STRUCTURES 片面(2層)・両面(3層)・複両面(5層)・複々両面(7層)の断面比較。

必要な圧縮強度、内容物重量、流通条件、箱寸法などに応じて構造を選択します。

03 段ボール原紙

段ボールの性能を考えるときは、その元となる原紙も重要です。

段ボール原紙
├─┬─
ライナ
表側/裏側
中しん

原紙の坪量、厚さ、圧縮特性、剛性、水分状態などは、最終的な段ボールシートや箱の性能に関係します。

段ボール箱の強度はフルートの種類だけで決まりません。ライナと中しんの特性、段ボール構造、箱寸法、製函条件、使用環境などが組み合わさって決まります。

LAB NOTE — 同じBフルートでも、すべて同じ強さにはなりません。
「Bフルート」は波形構造の区分です。原紙構成まで同一であることを意味しません。

04 フルートと段ボールの種類

フルートは、段ボールの波形部分です。段の高さや単位長さあたりの段数によって種類が分けられ、用途に応じて使い分けられます。

TABLE. 05-04-01 / FLUTE GUIDE
フルート記号段数 / 30cm段高さ主な用途
AAF34±24.5〜4.8 mm外装
CCF40±23.5〜3.8 mm外装
BBF50±22.5〜2.8 mm外装・内装
EEF80以上1.10〜1.15 mm個装・内装
FFF120以上0.60〜0.75 mm薄物包装等
GGF180以上0.50〜0.55 mm薄物包装等
ACBEFG 段高さ:A(大)→ G(小)
FIG. 05-04-03 / FLUTE ATLAS A・C・B・E・F・Gフルートの段高さの相対比較(模式図)。

フルートだけを見て単純に強弱を順位付けしません。実際の性能は、原紙構成、段ボール構造、箱設計なども含めて評価します。

05 段ボールができるまで

段ボールシートは、コルゲータと呼ばれる設備で連続的に製造されます。中しんを波形に成形し、ライナと接着した後、必要な幅・長さへ切断・罫線加工します。その後、印刷、溝切り、型抜き、接合などを経て段ボール箱になります。

01 段ボール原紙
02 中しんを波形に成形
SINGLE FACER
03 ライナと接着
04 表ライナを貼合
DOUBLE FACER
05 切断・罫線
SLITTER SCORER
06 所定長さへ切断
CUT OFF
07 段ボールシート
08 印刷・溝切り・型抜き
09 接合
10 段ボール箱
FIG. 05-04-04 / CORRUGATOR PROCESS 段ボール原紙から段ボール箱までの工程。
LAB NOTE — 段ボールを貼っているもの
段ボールの貼合には、主にでんぷん系接着剤が使用されます。コーンスターチなどを原料とする接着剤を用い、熱と圧力を利用してライナと中しんを接着します。

06 段ボール箱の形

段ボールシートは、切断、罫線、溝切り、型抜き、接合などによって箱になります。代表的な形式の一つが、上下にフラップを持つスロット型の箱です。海外ではRSC(Regular Slotted Container)として広く扱われています。

FLAP BODY JOINT SCORE SLOT(内部)
FIG. 05-04-05 / BOX FORMAT 左:RSC系箱の展開図(FLAP/BODY/SCORE/JOINT)。右:組立後の箱。

箱形式にはさまざまな種類があります。詳細な箱形式については、今後独立記事として整理します。

07 段ボールの強さ

段ボール箱の「強さ」は、一つの数値だけで表すことはできません。

段ボール箱の強さ 原紙構造箱設計使用環境 ライナ・中しん・坪量・剛性 フルート・厚さ・多層構造 寸法・箱形式・フルート方向・接合部 湿度・水分・時間・積載・輸送・保管
FIG. 05-04-06 / WHAT MAKES A BOX STRONG? 箱の強さは、原紙・構造・箱設計・使用環境が組み合わさって決まる。

物流では、積み重ねられた最下段の箱が上段の重量を支えます。フルート方向と圧縮荷重方向の関係も重要です。箱としての強度を考える場合は、シート単体の性能だけを見るのでは足りません。

LAB NOTE — 「段ボールシートが強い」と「箱が強い」は同じではありません。
シート性能が同じでも、箱寸法、箱形式、フルート方向、罫線、印刷、接合、積み方、湿度などによって箱としての性能は変わります。

08 段ボールをどう評価するか

段ボールは、原紙、段ボールシート、箱、完成した輸送包装の各段階で評価します。

TABLE. 05-04-02 / TEST MAP
評価対象主な評価何を見るか
原紙坪量・圧縮特性等紙そのものの基本性能
段ボールシート厚さシート厚
段ボールシートFCT平面方向の圧縮抵抗
段ボールシートECT端面方向の圧縮抵抗
紙・段ボールCobb吸水性
箱圧縮箱全体の圧縮抵抗
包装貨物積重ね試験長時間の積載への耐性

厚さ

段ボールシートの厚みを測定。

FCT

Flat Crush Test。段ボールシートを平面方向から圧縮し、フルートが潰れる方向への抵抗を評価します。

ECT

Edge Crush Test。段ボールシートの端面方向の圧縮抵抗を評価します。

Cobb

紙・板紙等の吸水性を評価します。

箱圧縮

段ボール箱全体へ圧縮荷重を加え、箱としての圧縮抵抗を評価します。

積重ね試験

輸送包装へ一定荷重を一定時間負荷し、積載条件下での変形や損傷を評価します。

LAB NOTE — ECT と箱圧縮
ECTは段ボールシートの端面圧縮特性を評価します。箱圧縮は、箱寸法、構造、接合、加工、環境などを含んだ箱全体の結果です。ECTの値だけから実際の箱強度を単純に判断しないことが重要です。

09 湿度・水分と段ボール

段ボールを理解するうえで、紙と水分の関係は非常に重要です。紙は周囲の湿度に応じて水分を吸収・放出します。水分状態が変化すると、紙の剛性や段ボール箱の圧縮性能にも影響します。

相対湿度上昇
紙が吸湿
含水率上昇
紙の剛性低下
段ボール箱の圧縮性能低下
FIG. 05-04-07 / HUMIDITY AND STRENGTH 一般的な傾向を模式的に示したもの。

湿度・水分と段ボール強度を詳しく見る →

段ボールの試験では、温度と相対湿度を管理した環境調整が重要です。また紙には、同じ相対湿度でも、それ以前の吸湿・乾燥履歴によって平衡含水率が異なる吸脱湿ヒステリシスがあります。

LAB NOTE — 試験時のRHだけで段ボールの状態は完全には決まりません。
保管履歴、調湿時間、温度、水分状態なども試験結果へ影響する可能性があります。

10 物流で考える段ボール

段ボール箱は、単体だけで使用されるものではありません。実際の物流では、積重ね、パレット積載、倉庫保管、トラック・コンテナ輸送、荷役などを経験します。その間には、上段からの荷重・長時間の積載・湿度・温度・振動・衝撃・パレットの支持状態・積付け方法などが同時に作用します。

PALLET BOTTOM CASE/最下段 上段重量 × 時間 × 環境
FIG. 05-04-08 / STACKING LOAD 最下段の箱には、上段重量・積載時間・環境条件が同時に作用する。

BCT予測、最下段荷重、長期荷重、湿度補正、パレット積付けなどは、今後の独立記事・計算ツールへ展開可能な領域として扱います。

11 環境・資源循環

使用済み段ボールは古紙として回収され、再び製紙原料として利用される循環システムがあります。段ボールの環境性を考える場合は、素材だけを見るのでは足りません。必要材料量、内容物保護、箱寸法、物流効率、回収性、再資源化を含めて考えます。

段ボール箱
使用
回収
古紙
製紙
段ボール原紙
↓ 循環
段ボール
FIG. 05-04-09 / MATERIAL CIRCULATION 段ボールは古紙として回収され、段ボール原紙の原料として循環する。
LAB NOTE — 最も軽い箱が、常に最適な箱とは限りません。
包装材料を削減しても、輸送中の破損や製品廃棄が増加すれば、別の環境負荷につながります。必要性能を確保したうえで最適化することが包装設計の基本です。

12 段ボールを設計するときの考え方

段ボール設計では、最初に原紙やフルートを選ぶのではなく、まず何を、どのような条件で運ぶのかを整理します。

01 内容物を知る
重量・寸法・壊れやすさ
02 必要な内寸を決める
03 物流条件を知る
積段数・保管・輸送・湿度
04 必要性能を設定する
05 原紙・フルート・構造を選ぶ
06 箱形式を設計する
07 試作
08 評価
09 実際の物流条件で確認
FIG. 05-04-10 / DESIGN FLOW

段ボール設計で重要なのは、材料、箱、物流を一つのシステムとして考えることです。優れた段ボール箱は、必要以上に強い箱でも、単純に最も軽い箱でもありません。内容物を必要な期間、必要な流通条件で守れる仕様を、材料、構造、物流、環境のバランスから決めることが基本です。

より詳しい強度計算・輸送設計は設計するで扱っています。

REFERENCES
関連: 基礎 5-1 プラスチックフィルム(軟包装) 設計する 用語集